• Sercos技術:

    実績、容易、高速、オープン

移行

オートメーション技術の重要な傾向として、ユニバーサルフィールドバスと専用ドライブバスの分離がなくなり、新しいアプリケーションに最適化されたデバイス構造が形成され、また従来のコントロール、ドライブ、 I/O ペリフェラル間の分割がなくなったことが挙げられます。このようなデバイス構造の代表的なものには、コントロールと電源部分が独立したドライブや、 完全デジタルエンコーダー接続などの分散システム、また、1つのドライブでコントロール、ドライブ、I/Oを組み合わせたハイブリッドデバイスなどがあります。どちらの方法も、システム要件に応じて組み合わせて容易に使用できます。これらの要件を一貫性を保持して実装するには、必要な性能と、それに対応する実行可能なデバイスプロファイルの仕様を提供する通信システムが必要です。

Sercos III はその要件を満たしており、これらの傾向を、広く知られた使用実績のあるSercos I/II のメカニズムに、イーサネット標準の利点と合わせて適用しました。そのため、伝送速度は16~100Mbit/sに増やされ、マシンやシステムの様々な通信要求に応えるために十分な帯域幅があります。実績のある Sercos I/II 通信メカニズムとして、リアルタイムデータ交換 (RT)、サービスチャンネル (SVC) による非同期データ交換、ハードウェア同期 (SYNC) が、Sercos IIIに引き継がれています。同時に、リング冗長性 (RR)、ダイレクト相互通信 (DCC)、ホットプラグ (HP)などの、ファーストイーサネットの全二重特性に基づく新しい通信機能が追加されました。

Sercos III では、高まる安全技術の重要性も考慮されています。CIP Safety on Sercos と呼ぶ安全コンセプトは、Sercos III と互換性のあるプロトコル拡張で、最小のサイクルタイムでも IEC 61508 準拠のSIL3までの安全アプリケーションで Sercos III を使用可能です。安全関連データは、リアルタイムデータと単一の物理媒体を使う他の標準イーサネットプロトコルと一緒に伝送されます。そのため、安全バスを追加する必要はなく、使用もシンプルで、ハードウェア費と設置費用を削減します。

Sercosは、Sercos、Ethernet/IP、TCP/IPの統合インフラで先駆的な手法を採用しています。これにより、Sercosフレーム、CIPメッセージ、TCP/IPフレームは、ケーブリングを追加せずに、1ネットワークですべて共存が可能です。Sercos III の周期とクロック通信をそのまま保つために、CIPメッセージとTCP/IPフレームは、Sercos伝送に不可欠な要素である統合通信チャンネル(UCC)で送信されます。この標準ネットワークインフラにより、エンジニアやユーザーはマシン統合のコストや複雑性を削減できます。同時に、任意の製品サプライヤーとオートメーションデバイスを、ケーブリングを追加せずに維持することが可能です。

ドライブプロファイルをSercos IIIに移行する過程で、それは拡張され一般化されたため、純粋のドライブ、I/O、コントロールデバイスだけでなく、1デバイスに異なるアプリケーションをもつハイブリッドデバイスもサポートされます。

Sercos III のこの革新的なアプローチのおかげで、既存の利点は維持されたまま、インターフェースのアプリケーション領域が大きく拡張されています。Sercos I/II と可能な限り互換性をとることにより、移行を簡素化するだけでなく、メーカーやユーザーのための投資を最大限に保護します。

Sercosのシステムアーキテクチャー